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胡宮神社社務所庭園|国指定名勝の美しい日本庭園の魅力と見どころ、拝観案内を詳しく解説

滋賀県多賀町の丘陵地に佇む胡宮神社社務所庭園は、室町時代末期に作庭された国指定名勝の美しい日本庭園です。かつて天台宗の大寺院であった敏満寺の福寿院の庭園として造られ、現在は胡宮神社の社務所庭園として大切に保存されています。池に浮かぶ水月亭と築山の調和が織りなす清楚で落ち着いた景観は、訪れる人々の心を静かに癒してくれます。

胡宮神社社務所庭園の概要・基本情報

胡宮神社社務所庭園|国指定名勝の美しい日本庭園の魅力と見どころ、拝観案内を詳しく解説

胡宮神社社務所庭園は、1934年(昭和9年)12月28日に国の名勝に指定された歴史ある庭園です。室町時代末期の作庭で、書院から眺めるように作られている鑑賞式林泉園として知られています。

歴史と由来

この庭園の歴史は、もとは敏満寺の福寿院の庭園でした。敏満寺は聖徳太子開基の天台宗の寺院で、湖東三山と並ぶほどの規模を誇った大寺院でした。鎌倉時代の頃に敏満寺は48伽藍120坊という規模をほこる天台宗の大寺院に発展し、その繁栄の中で庭園も整備されました。

しかし、戦国時代に兵火により焼失してしまい廃寺となり、神社だけが再建されました。江戸時代の初め、1638年(寛永15年)に江戸幕府三代目将軍・徳川家光により胡宮神社のみが再建され、庭園も社務所庭園として現在に至っています。

作庭の背景と様式

築造の年代は明確ではないが、旧福寿書院の庭園であったと伝えられるこの庭園は、丘陵上にあり自然の傾斜地を利用して築山となし、山の前方に池があり、池に水亭と浮石とを置き石橋を架け、池と建築物との間に歩石を配した清楚な庭園として文化財の記録に残されています。

書院から庭園を眺める鑑賞式の作りとなっており、自然の地形を巧みに活かした設計が特徴的です。庭園全体が持つ静寂さと品格は、禅宗文化の影響を受けた日本庭園の美意識を体現しています。

胡宮神社社務所庭園の見どころ・特徴

胡宮神社社務所庭園|国指定名勝の美しい日本庭園の魅力と見どころ、拝観案内を詳しく解説

この庭園の魅力は、限られた空間の中に凝縮された日本庭園の美しさにあります。自然の傾斜を活かした構成と、細部にまで配慮された石組みや植栽が調和し、四季を通じて異なる表情を見せてくれます。

池泉と築山の絶妙な調和

庭園の中心となるのは、前方の池泉と後方の築山の調和が絶妙な構成です。自然の傾斜地を巧みに利用して造られた築山は、庭園に奥行きと変化を与えています。一部石組みが植え込みに隠れていますが、全体的に清楚で落ち着きが漂う庭として、訪れる人々に静謐な印象を与えます。

池泉には浮石が配置され、石橋も架けられています。これらの要素が一体となって、自然でありながら計算された美しさを演出しています。

水月亭の風情ある佇まい

庭園のシンボル的存在が、この庭の中心である水月亭で、池に浮かぶように立っています。水月亭は瓦葺きの簡素なものですが、位置が心憎いほど所を得て、周囲との調和がすばらしい建物です。

この小さな建築物は、庭園の景観に重要なアクセントを与えており、池の水面に映る姿も含めて庭園全体の美しさを引き立てています。「水月」という名前も、水面に映る月のような美しさを表現した風雅な命名といえるでしょう。

サツキの花と季節の美しさ

築山には幾重にもサツキが茂り花が咲きほこる春ごろは華やかで美しい雰囲気に包まれます。サツキの開花時期には、庭園全体が色鮮やかな花に彩られ、普段の清楚な印象とは異なる華やかさを見せてくれます。

また、庭園は四季それぞれに異なる美しさを持っており、新緑の季節、紅葉の時期など、訪れる時期によって様々な表情を楽しむことができます。

拝観案内

胡宮神社社務所庭園|国指定名勝の美しい日本庭園の魅力と見どころ、拝観案内を詳しく解説

胡宮神社社務所庭園は通年公開されている庭園ではなく、特別な期間にのみ拝観が可能な貴重な文化財です。その希少性も含めて、訪問の際は事前の情報確認が重要になります。

拝観のポイントと楽しみ方

庭園を拝観する際は、書院からの眺めを中心とした鑑賞式庭園として設計されていることを念頭に置くと、より深く楽しむことができます。社務所の建物から庭園を眺める角度で、作庭者が意図した最も美しい景観を堪能できるよう配慮されています。

池泉と築山のバランス、水月亭の配置、石組みと植栽の調和など、限られた空間に凝縮された日本庭園の美学を静かに味わうことができます。特に、自然の傾斜を活かした立体的な構成は、平面的な庭園とは異なる奥行きのある美しさを感じさせてくれます。

庭園内には歩石が配置されており、池と建築物の間を歩きながら異なる角度から庭園美を楽しむことも可能です。水面に映る景色や、季節によって変化する植物の表情も見どころの一つです。

特別公開の情報

毎年11月23日前後に特別公開予定とされており、常時拝観可能ではありません。公開期間については、多賀町立文化財センターが窓口となっており、YOBISHIというプロジェクト名でInstagramにて情報発信されています。

特別公開の際には、庭園の見学と併せて文化的なイベントが開催されることもあります。2020年には写真展との同時開催が行われるなど、庭園の文化的価値を高める取り組みも実施されています。

拝観を希望される方は、事前に多賀町立文化財センターや関連する公式情報源で開催日程や申込方法を確認することをお勧めします。

アクセス・利用情報

胡宮神社社務所庭園|国指定名勝の美しい日本庭園の魅力と見どころ、拝観案内を詳しく解説

胡宮神社社務所庭園への訪問には、公共交通機関と自家用車のいずれでもアクセス可能ですが、山間部に位置するため事前のルート確認が重要です。

交通アクセス

電車でのアクセス
近江鉄道 彦根・多賀大社線 多賀大社前駅より徒歩20分となっています。多賀大社前駅は近江鉄道の終着駅で、彦根駅からは約30分程度の乗車時間です。駅から胡宮神社までは山道を登ることになるため、歩きやすい靴での訪問をお勧めします。道中は多賀大社の近くを通るルートとなり、周辺の史跡も併せて楽しむことができます。

自動車でのアクセス
名神高速道路の多賀サービスエリアに近接しており、高速道路からのアクセスも良好です。胡宮神社は足下に名神高速道路を見下ろす眺めの良い丘の上に立っており、アクセス道路からも高速道路を見ることができます。

<住所> 〒522-0342 滋賀県犬上郡多賀町敏満寺49

拝観時間・料金情報

胡宮神社社務所庭園は特別公開のみのため、通常の拝観時間や料金体系は設定されていません。公開時の詳細な時間や料金については、開催時期に合わせて多賀町立文化財センターから発表される情報を確認する必要があります。

駐車場については、胡宮神社の境内に参拝者用の駐車スペースがありますが、特別公開時の混雑状況によっては周辺の駐車場利用や公共交通機関での訪問を検討することをお勧めします。

特別公開期間中は、庭園の保護のため入場者数に制限が設けられる場合もあります。確実に拝観するためには、事前の問い合わせや予約の可否について確認することが大切です。

参照サイト

・胡宮神社|滋賀県観光情報[公式観光サイト]:https://www.biwako-visitors.jp/spot/detail/344/

・胡宮神社社務所庭園|文化遺産オンライン:https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/210470

・多賀観光協会:https://taga-kankou.com/shrine_temple/sh-spot-02.php

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