偕楽園で梅を訪ねる旅。日本三名園がみせる早春の彩り

偕楽園で梅を訪ねる旅。日本三名園がみせる早春の彩り

寒さの底に、ふわりと甘い香りが漂い始める頃。茨城県水戸市の偕楽園では、約100品種3000本の梅が少しずつ色を開いていきます。金沢の兼六園、岡山の後楽園と並ぶ「日本三名園」のひとつでありながら、偕楽園にはほかの二園とは少し違う、庶民に開かれた庭という物語があります。今回は、偕楽園の梅林を中心に、あわせて訪ねたい見どころをご紹介します。

「ともに楽しむ」ために生まれた庭

偕楽園で梅を訪ねる旅。日本三名園がみせる早春の彩り

金沢の兼六園、岡山の後楽園と並び日本三名園に数えられる水戸の偕楽園は、江戸時代、水戸藩九代藩主・徳川斉昭が藩士の心身を癒す場として造園した庭園です。「偕楽園」という名には、中国の古典『孟子』に由来する“領民と偕(とも)に楽しむ”という斉昭の想いが込められています。 金沢の兼六園・岡山の後楽園とともに日本三名園のひとつに数えられる『偕楽園』。江戸時代天保13年(1842年)7月、水戸藩第9代藩主徳川斉昭公により、領民の休養の場所として開園されました。大名庭園でありながら藩士や領民にも開かれていたという成り立ちが、この庭に独特のやわらかさを与えているように感じます。

約100品種3000本、梅林をゆっくり歩く

偕楽園で梅を訪ねる旅。日本三名園がみせる早春の彩り

「水戸の梅まつり」は120年以上の歴史がある偕楽園を代表するまつり。偕楽園の梅は品種が豊富で、約100品種3000本もの梅の木が植えられています。早咲き・中咲き・遅咲きと、12月下旬から3月下旬まで長期間楽しむことができます。同じ「梅」といっても、花の色や花弁の形、香りの深さは木によってさまざまです。園内にあるウメの中でも、花の形、香り、色などが優れている、ウメを「水戸の六名木」と呼んでいます。一本一本の個性を見比べながら歩くのも、この梅林ならではの楽しみ方です。時期をずらして何度か訪れると、そのたびに違う表情に出会えるのも魅力のひとつです。

斉昭公が設計した好文亭で、梅を見上げる

表門から入ると孟宗竹林が広がり、そこを下っていくと弛まなく水が湧き出る吐玉泉、そして徳川斉昭公が自ら設計を手がけた好文亭と見所満載です。園内の中程に位置する好文亭は、木造2層3階建ての好文亭本体と木造平屋建ての奥御殿から成り、なんと徳川斉昭公が自ら設計したものといわれています。ここに文人墨客や家臣、領内の人々を集め、詩歌や慰安会を催されたそうです。梅の異名である「好文木」にちなんで名づけられたというこの建物からは、田鶴鳴梅林をはじめとする梅の広がりを見渡すことができ、庭を歩くのとはまた違った角度から梅を楽しめます。竹林の陰を抜けた先に梅林と光あふれる好文亭が現れる、その明暗の移り変わりも、この庭ならではの見せ場です。

もうひとつの梅の名所、弘道館へ

偕楽園から少し足を延ばすと、水戸市三の丸には「弘道館」があります。茨城県水戸市三の丸に建つ弘道館は、天保十二年(1841)に徳川斉昭によって創設された藩校で、日本最大の規模を誇ります。現在では、近世日本の教育遺産群として日本遺産に認定されています。弘道館では、約60品種、800本の梅園となっており、「水戸の梅まつり」が毎年2月中旬~3月下旬に開催されます。偕楽園とはひと味違う、凛とした学びの場らしい佇まいの中で梅を眺めることができ、この祭りを目当てに全国から観梅客が訪れます。

梅だけじゃない、一年を通じた庭の表情

偕楽園の魅力は、実は梅の季節だけにとどまりません。桜、つつじ、秋には萩、初冬には二季咲桜と、園内に花々が季節を届けてくれます。一度の訪問で終わらせず、季節を変えて何度も足を運びたくなる。そんな懐の深さも、日本三名園に数えられる所以のひとつなのかもしれません。

おわりに

偕楽園の梅林は、ただ花が美しいだけでなく、領民とともに楽しむという願いから生まれた庭の物語や、斉昭公が手がけた好文亭との組み合わせによって、より深く味わえる場所です。早春にゆっくりと梅の香りをたどる旅、ぜひ計画してみてください。

日本三名園つながりで、石川県の兼六園が四季でみせる表情もあわせてご覧ください。

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