
肘折温泉の朝市。秘湯の里で出会う早朝のにぎわい
山形県の山あいにひっそりと佇む肘折温泉。谷筋に宿が寄り添うように並ぶこの湯の町では、夜が明けきらないうちから小さな市が立ちます。地元のお母さんたちが持ち寄る山菜や漬け物を眺めながら、湯宿から浴衣姿でそぞろ歩く。そんな素朴な時間が、肘折を訪れる楽しみのひとつになっています。
谷あいに広がる秘湯の風景

肘折温泉は山形県最上郡大蔵村にあります。深い谷の底に沿うように宿が軒を連ね、まわりを山々に囲まれた立地から「秘湯」と呼ばれることも多い温泉地です。表通りの賑やかさとは違う、静かで落ち着いた湯治場らしい雰囲気が今も残っています。
早朝だけの小さな市

肘折の朝市は、夜明け前後の限られた時間だけ開かれる小さな市です。近隣の畑や山でとれたばかりの野菜や山菜、季節の果物、手作りの漬け物などが、道沿いにずらりと並びます。売り手も買い手も顔なじみのような雰囲気で、値段交渉というより世間話をしながらのやりとりが続くのも、この市ならではの光景です。
山の恵みとの出会い
肘折の周辺は山菜の宝庫として知られ、季節ごとに違う顔を見せてくれます。春先には芽吹いたばかりの山菜、夏から秋にかけては地元でとれた野菜や果物が並び、旅の途中で思いがけない食材と出会えるのも朝市の魅力です。宿に戻って朝ごはんと一緒に味わったり、お土産として持ち帰ったりと、楽しみ方はさまざまです。
湯治場をのんびり歩く
朝市を覗いたあとは、そのまま温泉街を少し歩いてみるのもおすすめです。共同浴場に立ち寄って湯につかったり、昔ながらの造りの宿を眺めたりしていると、時間の流れがゆっくりに感じられます。派手な観光地というより、長く逗留して静養する「湯治」の文化が息づいてきた土地ならではの落ち着きが、肘折には残っています。
名前に込められた言い伝え
肘折という少し変わった地名には、古くからの言い伝えが残っています。旅の途中で肘を痛めた人が、この地の湯に浸かったところ痛みが和らいだという話が、今も地元で語り継がれているのだそうです。真偽のほどはさておき、そうした物語に思いを馳せながら湯につかるのも、旅の楽しみ方のひとつかもしれません。
訪れるなら朝がおすすめ
肘折の朝市を楽しむなら、宿に一泊して早起きするのが一番です。市が立つのはごく短い時間なので、前日の夜はゆっくり温泉で疲れをほぐし、翌朝は少し早めに目を覚まして出かけてみてください。ひんやりとした山の空気の中、湯上がりの体で歩く朝市は、日常とは違う特別な時間を運んでくれるはずです。
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