会津絵ろうそくとは?その魅力と歴史、特徴など詳しく解説(<a href="//commons.wikimedia.org/w/index.php?title=User:Sugikats&action=edit, CC BY-SA 4.0)

会津絵ろうそくとは?その魅力と歴史、特徴など詳しく解説

福島県会津若松を代表する伝統工芸品、「会津絵ろうそく」をご存知でしょうか。白いろうそくの表面に、菊・牡丹・藤・梅などの草花が色鮮やかに手描きされたその姿は、一目見ると火をともすのが惜しくなるほどの美しさです。実用品でありながら、まるで小さな絵画のような存在感を放つ会津絵ろうそく。その歴史と魅力を、詳しくご紹介します。

会津絵ろうそくの歴史|室町時代から続く600年の技

会津絵ろうそくの起源は、今から600年以上前の室町時代にさかのぼります。当時の会津地方の領主であった蘆名盛信(1408年〜1451年)が漆樹の栽培を奨励したことで、漆の実から得られた蝋を原料としてろうそくが盛んに生産されるようになりました。

その後、安土桃山時代に秀吉の命を受けて蒲生氏郷が会津の領主となると、近江から蝋燭職人が招かれ、ろうそくに花の絵が描かれるようになったと伝承されています。
江戸時代には絵ろうそくは会津の代名詞となり、最高級品として幅広い用途に使われました。禁裏・公家・諸国大名へ献上されたり、仏事や婚礼などの冠婚葬祭用として珍重されていました。
また、参勤交代の際に「南天と福寿草(難を転じて福となす)」が描かれた絵ろうそくを献上したところ、時の将軍綱吉公に喜ばれ、会津絵ろうそくは広く世間に知られることになりました。
明治維新後の1873年(明治6年)には、日本のきらびやかな工芸品を紹介するウィーン万博にて会津絵ろうそくが展示され、ジャポニズムを発信するきっかけとなりました。

しかし、明治維新の会津戦争で藩が崩壊すると消費者であった武士が没落し需要を失い、さらに大正末期から昭和にかけて電気が普及するとろうそく産業は衰退していきました。終戦後には会津絵ろうそくの店はわずか3軒のみとなってしまいました。
それでも、日本全国で起きた民芸運動により会津絵ろうそくも見直され、現在では新規開業を行った2軒を含む5軒が会津絵ろうそくを作っています。

会津絵ろうそくの特徴|手仕事が生む美しさと実用性

すべてが手作業による丁寧なものづくり

会津絵ろうそくの製造工程は、芯づくりに始まり、蝋かけ、かんなかけ、手磨き、絵かき、上がけ、芯だし、串ぬきまで、すべてが手作業で行われます。
機械化が進む現代においても、一本一本を職人が手仕事で仕上げるというスタイルは変わりません。

植物由来の蝋と太い芯が生む「あたたかな炎」

一本一本思いを込めて手作りされる絵ろうそくは、芯が太いため炎が大きく、あたたかみがあり、長持ちすることからたくさんの人に愛用されています。
漆の木の実から採れた植物性の蝋を使用するため、石油系のろうそくとは異なり、燃やしたときの煙が少なく、すすが出にくいのも特徴のひとつとされています。

草花を描く絵付けの技

菊や藤、牡丹などの草花の絵が色鮮やかに描かれた会津の伝統工芸品
として知られる絵ろうそく。
絵柄はすべて手描きで、親子代々、伝統の技が現代に受け継がれています。
熟練の職人による細かな筆使いは、同じ図案でも一本として全く同じものにはならず、それぞれに表情があります。

会津絵ろうそくが担ってきた文化的な役割

婚礼の際には一対の会津絵ろうそくが灯され、これが「華燭の典」の語源になったとも言われています。
慶事を彩る特別な存在だったことが、この言葉からも伝わってきます。

また、花の少ない会津の冬には、仏壇に供える花の代わりに絵ろうそくを飾るようになったといわれています。
厳しい冬の暮らしの中で、美しい花の絵が描かれたろうそくは、人々の心を和ませる大切な存在だったのかもしれません。

会津絵ろうそくの技術が他国へ流出しないよう、職人を管理下におき、生産から販売まで専売制を敷いて統制していた
ほど、藩にとっても誇るべき宝だったことがうかがえます。

冬の風物詩「会津絵ろうそくまつり」

会津の伝統的工芸品のひとつである会津絵ろうそく。職人技が感じられる絵ろうそくを多くの人に知ってもらおうと、「会津絵ろうそくまつり」が開催されています。鶴ヶ城や御薬園をはじめ市内各所にて、約10,000本のろうそくのあかりに照らされた雪景色の幻影を楽しむことができます。
「ゆきほたる」というサブタイトルで知られるこのまつり。雪景色の中にゆらめくやわらかな灯火が、会津の冬夜を幻想的に彩ります。
寒い季節だからこそ、ろうそくの炎のあたたかさが心にしみる、特別な体験ができるお祭りです。

まとめ

室町時代から600年以上の歴史を持つ会津絵ろうそくは、植物性の蝋に職人が一筆一筆手描きで草花を描く、丁寧な手仕事の結晶です。かつては将軍への献上品として、あるいは「華燭の典」という言葉を生んだ婚礼の場で、人々の大切な節目を彩ってきました。現在も少数の専門店が伝統を守り続け、冬のまつりを通じて全国にその美しさを伝えています。会津を訪れた際には、ぜひ一本手に取って、その静かな炎のぬくもりを感じてみてください。

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