水戸の梅とは?その魅力と歴史、見どころなど詳しく解説(<a rel="nofollow" class="external text" href="https://www.flickr.com/people/9596, CC BY 2.0)

水戸の梅とは?その魅力と歴史、見どころなど詳しく解説

春の訪れをいち早く告げる梅の花——。
茨城県水戸市には、日本を代表する梅の名所があります。

「水戸の梅まつり」は120年以上の歴史を誇り、日本三名園のひとつに数えられる「偕楽園」、日本最大規模の藩校「弘道館」を会場として開催されています。

今回は、水戸の梅の魅力と歴史、見どころをたっぷりとご紹介します。

偕楽園とは|水戸藩主が夢見た「民と楽しむ庭園」

偕楽園は、金沢の兼六園・岡山の後楽園とともに日本三名園のひとつに数えられており、天保13(1842)年7月、水戸藩第9代藩主徳川斉昭公により造られました。
「偕楽園」という名は、「古の人は民と偕に楽しむ、故に能く楽しむなり」という中国の古典『孟子』の一節から名づけられており、「領民と偕に楽しむ」場にしたいという斉昭公の強い想いが感じられます。
「弘道館」が文武修業の場(一張・いっちょう)であるのに対し、偕楽園は修業の余暇に心身を休める場(一弛・いっし)として、相互に補完しあう一対の教育施設として創設されました。

藩士も領民も共に憩える場として設けられたという発想は、当時としては非常に先進的なものだったと言えるでしょう。

「陰と陽」の世界観が生きる庭

偕楽園を語るうえで欠かせないのが、斉昭公が意図した「陰と陽」の世界観です。

「陰の世界」の入口である好文亭表門から入園し、静謐なる孟宗竹林、清らかな水が湧く吐玉泉を抜けて、梅林が広がる「陽の世界」に至るルートを辿れば、「陰と陽」という偕楽園の造園意図を堪能できます。

観梅の前にこうした背景を知っておくと、園内の散策がぐっと味わい深くなります。

約100品種3,000本の梅|水戸の梅まつりの魅力

園内には約100品種3,000本もの梅が、春の訪れを告げるかのように可憐に咲き競います。様々な品種があるため、「早咲き」「中咲き」「遅咲き」と長期間にわたり観梅を楽しむことができるのも魅力です。

梅の季節に一度だけしか来られなくても、早咲きから遅咲きまで段階的に咲き継ぐため、訪れるたびに異なる表情を見せてくれます。

弘道館でも梅を楽しめる

偕楽園では約100品種3,000本、弘道館では約60品種800本もの梅が咲き誇ります。
弘道館は国の特別史跡となっており、幾度もの戦火を免れた正門・正庁・至善堂の3か所は、重要文化財に指定されています。

歴史的な建物を背景に梅を眺める弘道館も、偕楽園とはまた異なる雰囲気があり、見逃せないスポットです。

水戸の六名木|選ばれた六つの名品

園内の梅のうち、花の形、香り、色などが優れている6種——烈公梅・白難波・月影・江南所無・柳川枝垂・虎の尾を「水戸の六名木」とよんでいます。

それぞれに個性があり、梅の見方が広がる特別な存在です。梅まつりの期間中は、ぜひ六名木を探しながら歩いてみてください。

梅まつりの歴史|鉄道開通が生んだ全国的な名声

水戸の梅が現在のように広く知られるようになったのには、興味深い歴史があります。

天保4(1833)年に斉昭公が初めて水戸藩領を訪れた際、領内にはあまり梅が植えられていませんでした。そのため、斉昭公は江戸で梅の実を集めて毎年水戸へと送り、偕楽園などに植えさせたと伝わります。

その後、観梅の文化が大きく花開くきっかけになったのが鉄道の開通です。

明治22(1889)年、水戸鉄道が開通すると、上野駅から水戸駅まで鉄道を利用して訪れる観光客が大きく増加しました。
水戸の旅館業者が中心となって観梅期間の臨時列車「観梅列車」を走らせることに成功し、地元側も花火を打ち上げたり、偕楽園内に仮設舞台を設えたりと、観光客の歓迎に力を入れるようになりました。

こうして百年以上をかけて育まれてきた「水戸の梅まつり」は、2026年で第130回を迎えています。

2026年の梅まつり情報

2026年の「水戸の梅まつり」は、2月11日(水・祝)~3月22日(日)に開催されます。
まつり期間中には、幻想的な夜の観梅を楽しめる「夜・梅・祭」や、全国の梅酒が一同に会する「全国梅酒まつり」、咲き誇る梅の下での野点茶会など、多くの催しが行われます。

また、夜のお楽しみとして「偕楽園 UME The Lights 2026」も見逃せません。

創設者である徳川斉昭公が偕楽園に込めた「陰と陽の世界観」を幻想的な演出でお楽しみいただけるナイトイベントで、2026年2月13日(金)〜3月15日(日)の金・土・日・祝日に、18時〜20時30分(最終入場20時)に開催されます。

アクセス情報

偕楽園の所在地は茨城県水戸市常磐町1-3-3。開園時間は6時〜19時(好文亭は9時〜17時)。入園料は大人320円、小中学生160円、満70歳以上160円です。
公共交通機関を利用する場合は、JR水戸駅北口からバスに乗車し約20分。梅まつり期間中はJR常磐線に「偕楽園臨時駅」が開設されるため、電車でもスムーズに来園できます。

まとめ

水戸の梅は、単なる花見スポットではありません。
領民とともに楽しむことを願った藩主の精神が今なお息づき、120年以上の時を超えて大切に受け継がれてきた文化の結晶です。
早咲き・中咲き・遅咲きと長い期間楽しめる多彩な梅、歴史的な庭園の空間、そして多彩なイベント——。
一度訪れれば、なぜ水戸の梅がこれほど愛されてきたのか、きっと肌で感じていただけることでしょう。
まだ肌寒さの残る早春に、ぜひ水戸へ足を運んでみてはいかがでしょうか。

関連記事一覧