大阪欄間とは?その魅力と歴史、特徴など詳しく解説(<a rel="nofollow" class="external text" href="https://www.flickr.com/people/3241, CC BY-SA 2.0)

大阪欄間とは?その魅力と歴史、特徴など詳しく解説

「欄間(らんま)」という言葉を聞いて、どんなものを思い浮かべるでしょうか。
日本家屋の天井と鴨居(かもい)のあいだに設けられた開口部材のことで、風通しや採光のために古くから使われてきた建具です。
なかでも「大阪欄間(おおさからんま)」は、精緻な彫刻と高い実用性を兼ね備えた伝統工芸品として、全国にその名を知られています。
今回は、大阪欄間の歴史や技法の特徴、現代における魅力について詳しくご紹介します。

大阪欄間とは|「天下の台所」が育んだ建具の芸術

日本家屋において、天井と鴨居、長押(なげし)の間に施される開口部材を欄間といいます。
風通しを良くしたり、光を採り入れたりするために設けられ、そのデザインはシンプルな格子から花や風景を彫り込んだ華美なものまでさまざまです。
欄間には多様な種類があり、大阪市や吹田市、岸和田周辺で作られる欄間を「大阪欄間」といいます。
大阪は、富山の井波彫刻と並ぶ二大産地の一つです。
大阪欄間の始まりは17世紀初期とされ、商都として発展した大阪において需要もあり、華美な彫刻欄間として発展しました。
大阪府下の聖神社(和泉市)や四天王寺(大阪市)などに原型が見られ、現代までその技法が伝わります。
当時大阪の堀江・横堀の川沿い一帯が木材の集散地であったことから、欄間づくりが盛んになりました。
周辺には多くの木材問屋があり、木工職人が職人町を形成し、欄間の職人もその中で腕を競い合っていたのです。
細工が豪華・精緻になっていくほど高価なものになりますので、豪華な欄間を作ることが一つのステータスとなり、商人文化が発達した大阪では、商売で成功した商家が絢爛さを競うことで、実用性を離れて見栄えがよく斬新なスタイルへと発達していったようです。

大阪欄間の歴史|寺社建築から庶民の暮らしへ

当初、お寺や特権階級の屋敷に限られていた豪壮華麗な飾りは「力」を現わすために用いられていましたが、江戸時代に入ると一般住宅の茶の間や客間等の鴨居の上に採光通風を良くする実用性と品格を保つための室内装飾として取り入れられるようになりました。
1680年代には彫刻を施した「透かし欄間」が登場し、植物文様や幾何学模様が主流となりました。
1700年代中頃には商家の繁栄とともに具象的な「絵画欄間」が登場し、花鳥風月や故事、風景が彫刻されるようになります。
さらに1800年代初頭には唐木細工や仏壇彫刻の技法が欄間に応用され、立体感と写実性が向上しました。
江戸時代が終わった後も、戦前まで職人町は堀江・横堀に残っていましたが、戦災により離散しました。
しかし、戦災から徐々に復興し、職人たちが戻り、現在ではおよそ30の企業が生産を続け、昔からの大阪欄間の伝統を守り続けています。
1975年、大阪欄間は大阪府内で最初に国から伝統的工芸品に指定されました。
また1995年11月に開催されたAPEC大阪会議では、出席された太平洋地域の各国首脳に、日本を象徴するお土産品として、大阪欄間の技術で製作した彫刻額が贈呈されました。

大阪欄間の特徴|多彩な技法と素材の美しさ

大阪欄間の最大の魅力は、その多様な技法にあります。

屋久杉などの杢目(もくめ)を生かした絵画調の彫刻欄間、桐の肌と透かし模様が調和した透彫欄間、簡潔な幾何学模様を表した組子欄間、このほか筬(おさ)欄間、節抜(よぬき)欄間があり、日本家屋にふさわしい装飾と換気の機能性を備えています。
彫刻欄間は、屋久杉の木目を生かし、図柄を立体的に彫り出した技法です。
他のものと比べると表現の幅が広く、欄間の題材は植物や動物、風景など自由に選べます。
立体感があるので、板を厚くすることで表と裏で図を変えることも可能です。
透かし彫欄間は、杉や桐などの薄い木を用い、いろいろな図柄や形を透かし彫りした技法で、切り抜き欄間とも呼ばれます。
スギを中心に、キリ、ヒノキなどの素材に、墨で図柄を直接書きこんだ上で、模様を彫り上げていくのが大阪欄間の特徴です。
日中と夕刻、照明の有無などによって欄間の陰影が変化し、同じ彫刻でも異なる表情を楽しめます。
こうした光と木の対話こそ、大阪欄間ならではの情緒的な魅力だといえるでしょう。

実用性と装飾性を兼ね備えた工芸品

多様にある技法のいずれも、通気性や採光性に富んでおり、室内を快適に保つための役割を担っています。
また、日本家屋の品格を演出する上でも欠かせないパーツであり、大阪欄間は実用性と装飾性を兼ね揃えた工芸品といえるでしょう。

現代における大阪欄間の楽しみ方

洋風建築が主流となった現代では、住まいに欄間を設ける機会は少なくなりました。
しかし、大阪欄間はかたちを変えながら、暮らしの中に息づき続けています。

日本家屋が減った近年も、マンションに適したシンプルなデザインや若い世代にマッチするモダンなデザインなども積極的に作られています。
鴨居や長押の装飾に使われることが一般的だった大阪欄間ですが、近年はその技術を生かしたインテリア小物としても人気があります。
大阪欄間は現代では、日本の伝統を感じるインテリアとして使用されています。
玄関先に置けば、お客様のお出迎えにも華やかさを添えるでしょう。
昔から桐箱は美術品や着物などの保管に使われてきましたが、桐箱の実用性と装飾の美しい欄間の特徴を活かしてつくられた大阪欄間の桐箱は、軽く持ち運びしやすいのが特徴です。
地域団体商標にも登録されており、大阪欄間の名称とともに、その品質と産地の独自性が守られています。

まとめ

大阪欄間は、「天下の台所」と呼ばれた大阪の商人文化と、職人たちの技が400年以上をかけて磨き上げた、日本が誇る建具の芸術です。
彫刻欄間・透かし彫欄間・組子欄間など多彩な技法のそれぞれに、木の表情と職人の手仕事が宿っています。
建具としての枠を超え、現代のインテリアや小物としても進化を続ける大阪欄間。
その奥深い世界に、ぜひ一度触れてみてはいかがでしょうか。

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