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尾道ラーメンとは。瀬戸内いりこと背脂が生む「あっさりこってり」の魅力

尾道ラーメンとは。瀬戸内いりこと背脂が生む「あっさりこってり」の魅力

坂の町・尾道には、路地裏の古い街並みと並んで、地元の人が何十年も食べ続けてきた一杯のラーメンがあります。醤油ベースなのにコクがあって、こってりしているのに飲み干せる。そのちょっと不思議な味わいこそが、尾道ラーメンの魅力です。

尾道ラーメンの3つの特徴

尾道ラーメンを初めて食べた人がまず驚くのが、スープの表面に浮かぶ白い粒々の存在です。これが「豚の背脂ミンチ」。そしてスープをひと口飲むと、醤油のしっかりした味の奥に、どこか磯の風味のような香りが広がります。この組み合わせが、尾道ラーメンを唯一無二にしています。

瀬戸内のいりこが香るスープ

尾道ラーメンのスープは、鶏ガラをベースに、瀬戸内の小魚(いりこ)のだしを合わせた醤油仕立てが基本です。いりこは主にカタクチイワシで、西日本では「いりこ」、東日本では「煮干し」と呼ばれています。瀬戸内海でとれたいりこは乾燥させても身が柔らかく、スープに特有の香りと上品な甘みをもたらします。

スープはさらりと澄んでいますが、表面にミンチ状の背脂が浮かべられると印象が一変し、こってりとした食べ応えのあるラーメンに仕上がります。この「あっさりとこってりのかけ算」こそが、多くの人を虜にする理由のひとつです。

豚の背脂ミンチ

現在の尾道ラーメンの特徴として、魚介類でとったスープに豚の背脂をたっぷり浮かべるスタイルが定着しています。背脂はミンチ状で、スープに浮かんでいます。食べる前はインパクト大に見えても、いりこだしの風味と溶け合うことで味はぐっとまとまり、重くなりすぎない絶妙なバランスが生まれます。

平打ちの中細ストレート麺

尾道ラーメンの麺の特徴として、コシのある平打ち麺が挙げられます。西日本では珍しいスタイルです。平たい形状がスープをよく絡め、一口ごとに鶏ガラといりこの風味がしっかり伝わってきます。具はチャーシュー、メンマ、ネギといったシンプルな構成で、スープと麺の味をじっくり楽しめるようになっています。

尾道ラーメンのはじまり

昭和3年(1928年)頃、中国福建省出身の張氏が露店でラーメンを売り歩いたのが始まりとされています。当時のスープは牛骨と豚骨ベースで白濁していたといいます。

昭和30〜40年代にかけて、平打ち麺と鶏ガラベースのスープ、瀬戸内の魚介を使ったスープに背脂のミンチを散らす現在のスタイルが定着していきました。そして、1990年代に、とある珍味メーカーがお土産用の尾道ラーメンを発売したところ、1年で200万食売れるヒット商品となり、尾道ラーメンの名が全国に広がりました。

食べてみたい、尾道の一杯

尾道市内には、長い年月をかけて地元に根づいてきたラーメン店が今も多くあります。尾道ラーメンは中国地方でもっとも有名なご当地ラーメンとして、全国的に認知されています。

地元で歴史の古い店ほど「中華そば」の名称で提供していることが多く、現在でも「尾道ラーメン」という名前より「中華そば」を看板に掲げる店が少なくありません。そうした店を訪れると、ご当地グルメとしてのにぎやかなイメージとはすこし異なる、静かで丁寧な一杯に出会えることがあります。

坂道を上ったあと、古い商店街を歩いたあと、しまなみ海道のサイクリングを終えたあと。尾道という町には、ラーメンがよく似合うシーンがたくさんあります。まだ食べたことがない方は、ぜひ一度、現地でその味を確かめてみてください。

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