
愛媛の鯛めし、2つの味を楽しむ旅へ。南予・中予それぞれの食べ方ガイド
愛媛に来たら、何を食べますか。そう聞かれたとき、地元の人が迷わず挙げるのが「鯛めし」です。ひと口に鯛めしといっても、愛媛には味わい方が大きく異なる2つのスタイルがあります。どちらが本物か、ではなく、どちらも愛媛の海と暮らしが生んだ本物です。贈り物探しの参考に、旅の計画のお供に、ぜひ読んでみてください。
愛媛が鯛の産地であるわけ

今治市や松山市北条で食べられる鯛めしは、鯛を丸ごと一匹、土鍋や釜に入れてご飯と一緒に炊き込む郷土料理です。そのベースとなるのが、愛媛の豊かな海です。松山市北条地区から約30km東にある今治市沖の来島海峡は潮の流れが速く、ここで育った魚は身がしまって弾力があります。
そして忘れてならないのが、県南部の宇和海です。リアス式海岸と黒潮が流れ込む宇和海は養殖に最適な環境で、愛媛県の養殖真鯛は1990年(平成2年)以降、生産量日本一を誇っています。真鯛は1993年(平成5年)に愛媛県の魚にも制定されています。海の恵みがそのまま食卓に届く土地だからこそ、鯛めしは生まれ、育ってきました。
南予スタイル「宇和島鯛めし」

漁師の知恵から生まれたどんぶり
「宇和島鯛めし」は、宇和海の日振島を拠点に活動していた伊予水軍のまかない飯として食べていたのが始まりとされています。南北朝時代から江戸時代にかけて活躍した水軍の時代には、すでにあった料理だということが推察できます。
かつては、船上で火を使うことができないため、魚の切り身を醤油に漬けてご飯の上にのせ、どんぶりにして食べていたのだそうです。農林水産省が実施した「郷土料理百選」では、2007年(平成19年)に「宇和島鯛めし」として選ばれています。
食べ方と味わい
宇和島市などの南予地方発祥の食べ方は、鯛の生の切り身を醤油・みりん・ごま・だし汁をあわせたたれに漬け込み、ご飯の上にのせて卵黄を落とすスタイルです。たれごとごはんにかけていただく、豪快でいて繊細な一杯。新鮮な鯛だからこそ成立する食べ方で、訪れたその日に味わいたい料理です。
中予・東予スタイル「炊き込み鯛めし」
丸ごと一匹、だしを全部いただく
焼いた鯛を昆布だしでふっくら炊き込む「松山鯛めし」は、松山市の北にある北条地区の郷土料理がベースになっており、「北条鯛めし」とも呼ばれています。
今治市など東予地方では、タイをまるごと米と一緒に炊き込み、炊きあがった後でタイの身をほぐし、ごはんとまぜて食べます。タイの旨味がごはんに染み込み、タイの身の弾力と合わさって、とても美味しい一品です。
この北条鯛めしには、神功皇后とゆかりがあると伝えられる長い歴史があります。鯛と昆布だしだけのシンプルな炊き込みごはんだからこそ、素材のよさがそのまま味になります。
2つの鯛めし、どう選ぶ?
| 宇和島鯛めし(南予) | 炊き込み鯛めし(中予・東予) | |
|---|---|---|
| 調理法 | 生の刺し身をたれに漬けてごはんにかける | 鯛を丸ごと米と炊き込む |
| 食感 | なめらかで瑞々しい | ふっくら、ほろほろ |
| 雰囲気 | 漁師のまかない飯、どんぶり感覚 | 炊き込みごはんの香ばしさ |
| 主なエリア | 宇和島市・南予地方 | 松山市・今治市・北条地区 |
旅先で1食しか選べないなら、宿泊する地域のスタイルを選ぶのが自然です。松山観光の拠点にするなら炊き込み、宇和島方面に足を延ばすなら漬けタレスタイルを。松山市は、愛媛県の中でも有数の観光スポットなので、どちらのスタイルのお店も揃っています。食べ比べを目的に訪れるのも、十分な理由になります。
手土産・贈り物にするなら
鯛めしの味を家庭でも楽しめるよう、愛媛では鯛めしの素や調味だれを扱うお土産品が多く揃っています。宇和島鯛めし用のたれセット、炊き込み用の鯛めしの素は、愛媛の道の駅や空港の売店で見つけることができます。現地で味わった記憶ごと持ち帰れる贈り物として、食にこだわる方へのギフトにも喜ばれます。
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