
はじめての盛岡じゃじゃ麺。平打ち麺と肉味噌が織りなすソウルフードの味わい
盛岡の街に根付いた麺料理に「じゃじゃ麺」があります。わんこそば、冷麺とともに「盛岡三大麺」と呼ばれる一杯で、地元の人に長く愛されてきたソウルフードです。名前は聞いたことがあっても、どんな料理なのかはまだよく知らない、という方にこそ、その魅力をお伝えしたいと思います。
じゃじゃ麺とはどんな料理か

じゃじゃ麺は、茹でたての平打ち麺の上に、肉味噌ときゅうり・長ねぎをのせた汁なしの麺料理です。食べる前に卓上のラー油・酢・おろしにんにく・おろし生姜をお好みで加え、麺と味噌をよく混ぜ合わせていただきます。
見た目は中国料理の「ジャージャー麺」に似たスタイルですが、食べ方も味もまったく異なる盛岡オリジナルの料理です。平打ちのもちもちした麺に、甘みと辛みが絡み合う肉味噌がしっかりとなじんで、シンプルなのに後を引く味わいになります。
農林水産省の「農山漁村の郷土料理百選」にも選ばれており、岩手を代表する郷土の味として広く知られています。
誕生の物語。戦後の屋台から始まった一杯
「白龍(パイロン)」の創業者である高階貫勝さんが、戦前に旧満州で食べた炸醤麺の味に感動し、盛岡に引き揚げてから独自にアレンジしたのが「盛岡じゃじゃ麺」の始まりです。
高階さんは満州時代に味わった炸醤麺を忘れることができず、盛岡で手に入る材料を使いながら現地の味を再現しようと試行錯誤を重ねました。単なる模倣ではなく、盛岡の人の舌に合うよう独自のアレンジを加え続けた結果、全く新しい麺料理「じゃじゃ麺」が完成したのです。
当初は屋台で提供されていたじゃじゃ麺は、その独特の味わいが評判となり、1953年に高階さんが「白龍(パイロン)」として店舗を構えることになりました。一つの料理が、時代と人々の声とともに育ってきた歴史があります。
じゃじゃ麺の食べ方。自分だけの味を作る楽しみ
まず、よく混ぜること
肉味噌などの具材と調味料を麺によく絡ませて食べるのがコツで、とにかくよく混ぜるのが「盛岡じゃじゃ麺」の正しい食べ方です。調味料を加えるタイミングは自由ですが、まず一口そのまま食べてみて、味噌の風味を確かめてから調整するのもおすすめです。
卓上の調味料で自分流に
加える調味料の種類も量も自由なので、自分好みの味を見つける楽しみがあるという点がじゃじゃ麺ならではの魅力です。ラー油を加えれば辛みと香りが立ち、酢を少し垂らすと味がさっぱり引き締まります。おろしにんにくはパンチを、おろし生姜は爽やかさをプラスします。何度か通ううちに「自分の黄金比」が見えてくるのも、じゃじゃ麺の楽しみ方のひとつです。
〆のチータンタン
じゃじゃ麺を食べ終えたら、皿に残った肉味噌の余韻を活かして「チータンタン(鶏蛋湯)」を楽しむのが一般的です。麺をあらかた食べ終わったら皿に生卵を割り入れ、茹で汁を注いでもらい、肉味噌を少々加えれば美味しいチータンタンのできあがりです。
盛岡ではこのチータンタンを食べることで「じゃじゃ麺」を最後まで食べ終えたともいえ、じゃじゃ麺を注文する人のほとんどがチータンタンを頼みます。一杯で二度楽しめる、じゃじゃ麺ならではの締めくくりです。
盛岡でじゃじゃ麺を味わうために
盛岡市内には元祖の「白龍(パイロン)本店」をはじめ、じゃじゃ麺を提供するお店が複数あります。お店によって肉味噌のレシピや麺の太さが少しずつ異なり、食べ比べてみると新しい発見があります。盛岡を訪れる際はぜひ、自分好みの一杯を探してみてください。
麺料理とはいえ、じゃじゃ麺には「自分で味を作る」という面白さがあります。知れば知るほど奥が深い、盛岡の味です。

