
べったら漬けとは?その魅力と歴史、家庭で作るレシピを詳しく解説
ほんのり甘く、シャキシャキとした歯ごたえが特徴の「べったら漬け」。
東京生まれのこの漬物は、江戸時代から受け継がれてきた日本の発酵食文化の一つです。
スーパーで目にすることはあっても、「どんな歴史があるの?」「家でも作れるの?」と思ったことはないでしょうか。
今回は、べったら漬けの由来と歴史、味の秘密、そして自宅で挑戦できるシンプルなレシピまでをじっくりご紹介します。
べったら漬けとは|東京が誇る大根の麹漬け
べったら漬けとは、塩で下漬けした大根を米麹と砂糖で漬け込んだ漬物です。
大根の麹漬けの一種で、東京を代表する名産品とされています。表面についた甘酒の麹がべとべとしていることから、この名がついたとされています。
たくあんとよく比べられることがありますが、両者には大きな違いがあります。
沢庵は「ぬか」を使い、べったら漬は「米麹」を使います。また、大根を干さずに漬け込むことも大きな違いで、干さないため水分を失わない漬物となっています。
この「みずみずしさ」と「上品な甘み」こそが、べったら漬けの最大の個性と言えるでしょう。
江戸から続く歴史|えびす講と「べったら市」
べったら漬けの発祥は、江戸時代のえびす講で売られていた大根の浅漬けとされています。
江戸時代、旧暦10月20日に行われる恵比寿講の前日に、江戸日本橋の大伝馬町一帯では市が開かれました。その際、恵比寿講で使う恵比寿像や神棚などの道具、お供えの鯛や野菜と共に、江戸近郊の農家が浅漬けの大根を売り出したのが、べったら漬けのはじまりとされています。
名前の由来については諸説あります。
漬け上がった大根の表面に米麹や甘酒がべとべとと付着している様子から生まれたという説や、江戸時代の売り子が「べったらだ、べったらだ」と声を上げながら売り歩いたことに由来する説も伝わっています。いずれも江戸庶民の暮らしと密接に関わる、親しみやすい呼び名です。
この恵比寿講の市は古くは「くされ市」と呼ばれていましたが、次第にべったら漬けが評判となり、明治の半ばには「べったら市」の名で呼ばれるようになりました。
現在も毎年10月19日・20日に、宝田恵比寿神社に近い日本橋大伝馬町界隈で「べったら市」が開かれ、東京・日本橋界隈の秋の下町恒例行事となっています。
麹がもたらす甘みと栄養|べったら漬けが体にいい理由
べったら漬けの上品な甘みは、砂糖だけでなく米麹の発酵の力から生まれます。
米麹には腸内の善玉菌を増やす「麹菌」が含まれているため、腸内環境を整える働きをしてくれます。さらに「消化酵素」も含まれているので、便秘解消にもつながるともいわれています。
また、べったら漬けにはビタミンCも豊富に含まれています。
一方で、塩分には注意が必要です。
下漬けの時に塩をたくさん使うので、塩分が高い漬物となっています。甘いからとパクパク食べてしまうと、塩分の過剰摂取の元になります。
おいしさを楽しみながら、食べすぎには気をつけて取り入れたいものです。
家庭でできる!べったら漬けの基本レシピ
伝統的な製法に沿ったシンプルなレシピをご紹介します。
特別な道具は不要で、冷蔵庫があれば自宅でも十分に作れます。
材料(大根1本分の目安)
- 大根 1本(約1kg)- 塩 大根の重さの約4%(約40g)- 米麹(生麹または乾燥麹) 200g前後- 砂糖または甘酒 適量(お好みで調整)
作り方
① 大根を準備する
大根の皮を厚めに剥き、食べやすい大きさ(輪切り・縦割りなど)にカットします。
皮を厚めに剥くことで、漬け上がりの口当たりがなめらかになります。
② 塩で下漬けする
漬け樽や保存容器に並べて塩(大根の重さの約4%)をまぶし、2日間ほど漬け込みます。
重石をのせてしっかり水分を出すのがポイントです。
出てきた水分(大根の旨みを含んでいます)は、甘さを重視するレシピでは除いて使います。
③ 米麹で本漬けする
塩漬けした大根の水気をよく切ったら、米麹・砂糖(または甘酒)を混ぜた漬け床に並べます。
全体がよく覆われるようにしっかりなじませてから密閉し、冷蔵庫へ入れます。
④ 漬け込んで完成
冷蔵庫で1週間〜10日ほどで美味しく漬け上がります。
早めに食べると甘みが強く、しっかり漬け込むほどに旨みが深まるとされています。
漬け込んで10日から15日で食用になりますが、風味が変わるのも早く、貯蔵性はありません。
漬け終わったら冷蔵保存で約1ヶ月もつとされています。
アレンジのヒント
べったら漬けはサラダとも相性が良く、千切りにした野菜に千切りにしたべったら漬けを混ぜると、一味違ったサラダになり、味のバリエーションも広がります。
そのまま白ご飯に添えるのはもちろん、細かく刻んでチャーハンや和え物に使うのもおすすめです。
まとめ
べったら漬けは、大根と米麹というシンプルな素材が生み出す、江戸の知恵と発酵文化の結晶です。
大根・米麹という二つを組み合わせたまさに庶民の味でありながら、徳川慶喜もこの漬物を好んだという記録が残っており、身分を問わず愛されていたことがわかります。
「むずかしそう」と思われがちな麹漬けですが、材料はごくシンプル。ぜひ一度、自宅で手作りしてみてください。
手をかけて漬けた一切れには、江戸の下町の風情と、発酵のやさしい甘みが詰まっています。

