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鳥取城|久松山に築かれた名城の歴史と見どころ、参拝情報を完全ガイド

鳥取城|久松山に築かれた名城の歴史と見どころ、参拝情報を完全ガイド

鳥取県の県庁所在地、鳥取市の中心部にそびえる久松山(きゅうしょうざん)。その山肌に刻まれた石垣と曲輪の跡が、かつてここに壮大な城があったことを静かに物語っています。
鳥取城は「日本百名城」にも選定された国指定史跡であり、戦国時代から江戸時代にかけての城郭の姿を一度に学べることから、「城郭の博物館」と呼ばれています。

近年は復元整備も進み、2025年には大手門にあたる中ノ御門が完成するなど、見どころが増え続けています。歴史好きはもちろん、はじめて訪れる方にもきっと発見がある城跡です。

鳥取城の歴史|戦国の舞台から鳥取藩の居城へ

山名氏と戦国の争乱

鳥取城は、標高263mの久松山山頂に築かれた山城を起源としています。
防御性の高さや山頂からの優れた眺めから「日本(ひのもと)にかくれなき名山」と評され、織田信長は「堅固な名城」と讃えたと伝わります。

戦国時代、城をめぐる争奪戦は熾烈を極めました。そのなかでも特によく知られるのが、羽柴秀吉による兵糧攻めです。
秀吉は鳥取城に対して3か月以上にわたる包囲を行い、多くの餓死者が出ました。これを鳥取の「渇(かつ)え殺し」といいます。
約4カ月間の包囲戦で補給を断たれた城内では餓死者が相次ぎ、城主の吉川経家は部下の助命を条件に自害して降伏しました。

正面入口に立つ吉川経家の像は、この悲劇の歴史を今に伝える象徴的な存在です。

池田氏による近世城郭への発展

その後、関ヶ原の戦いを経て池田氏が入り、1617年(元和3年)には池田光政が32万石の大名として入城。大規模な城の拡張整備と城下町の整備が行われました。
整備には、現存する姫路城大天守の築城に携わった職人たちが起用されたことから、「姫路城の弟城」とも呼ばれています。

また、家康の血を引く鳥取池田家は幕府から厚遇され、城内の建物屋根に葵の紋瓦を葺くことを許可された唯一の外様大名でもありました。

鳥取城跡の見どころ|山上ノ丸・山下ノ丸・太閤ヶ平

山上ノ丸|山頂からの絶景と石垣

久松山の山頂「山上ノ丸」は、秀吉配下の宮部継潤が石垣造りに改修した場所で、天守、本丸、二ノ丸、三ノ丸、出丸で構成されていました。山頂からは鳥取市街が一望できるほか、遠く鳥取砂丘や日本海を望むことができます。

かつて山頂には天守がそびえていましたが、1692年(元禄5年)に落雷で焼失し、その後は再建されませんでした。

現在は石垣や曲輪跡が良好に残り、戦国時代から江戸時代初期の城郭の姿をうかがうことができます。山頂への道は急勾配ですので、訪れる際は歩きやすい靴の準備を忘れずに。

山下ノ丸|復元が進む江戸時代の城郭

久松山の山麓を利用した平山城として整備された山下ノ丸は、鳥取藩32万石の居城だったころの面影を今に伝えています。

近年もっとも注目を集めているのが、大手門「中ノ御門」の復元です。
2021年(令和3年)に中ノ御門表門が復元され、さらに2025年3月には渡櫓門の復元が完了。大手門の全体が完成したかたちとなり、2025年4月26日に開門式が行われました。
擬宝珠橋から渡ると、表門は高麗門、渡櫓門は二階櫓門となっており、かつての大手道の雰囲気を存分に体感することができます。

また、天球丸(てんきゅうまる)に残る「巻石垣」は、湾曲した独特の石積み構造を持つ貴重な遺構として城跡ファンに広く知られています。

太閤ヶ平|秀吉の本陣跡

山上ノ丸の東側にある「太閤ヶ平(たいこうがなる)」は、羽柴秀吉が鳥取城を兵糧攻めする際に築いた本陣跡。総延長約700mの堀が形成した大防衛ラインは圧巻です。
鳥取城の附けたりとして、鳥取城跡とともに国史跡の指定を受けています。

現地に立つと、秀吉がいかに周到な戦略でこの城に挑んだかを肌で感じることができます。

久松公園と周辺スポット

鳥取城跡を整備して造園された久松公園には芝生が敷き詰められ、春はソメイヨシノを中心に桜が咲き誇る県内有数の桜の名所、秋は紅葉の名所として久松山を背景に美しい風景を楽しむことができます。
公園内にはソメイヨシノやサトザクラなど400本を超える桜が咲き、公園入口には鳥取気象台による桜の開花宣言の指標となる標準木があります。

毎年秋には「鳥取三十二万石お城まつり」も開催され、地元の人々にも親しまれる場所となっています。

周辺には、旧鳥取藩主池田仲博侯爵の別邸で、大正天皇の皇太子時代の御宿所として利用された白亜の洋館「仁風閣」や鳥取県立博物館など、徒歩10分以内に観光スポットが集約されています。

アクセス

鳥取自動車道 鳥取ICから車で約20分。JR鳥取駅からは100円循環バス「くる梨(緑コース)」で約8分、「仁風閣・県立博物館」または「市立武道館」で下車すぐです。

なお、城跡専用の駐車場はないため、周辺の有料駐車場をご利用ください。
鳥取市街地を一望できる二ノ丸までは久松公園から徒歩約10分、山上ノ丸(山頂)までは約40分です。

山頂へ向かう際は、飲み物や熊よけの鈴を持参し、時間に余裕を持って行動することをおすすめします。

まとめ

鳥取城は、戦国時代の激しい攻防から江戸時代の城下町の繁栄まで、日本の城郭史を凝縮したような場所です。復元が進む大手門や迫力ある石垣群、山頂からの雄大な眺め——それぞれに異なる魅力があります。春の桜、秋の紅葉と四季折々の表情も楽しめる久松公園とあわせて、ぜひ半日ゆっくりと散策してみてください。歴史の重みと自然の美しさが重なるこの場所は、きっと心に残る旅の一ページになるはずです。

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